坂口安吾 『紫大納言』 山の奥に踏みまよっていた。 行くてに笹の繁みをくぐり常に逃げる何物かあり、頭上に蝉がとびたって、逃げまどい、枝にぶつかる音がきこえた。 と、行手はるかに、ののしりどよめく物音が、渡る風に送られて、きこえたような思いがした。 坂口安吾の名言・名文を読む 用例を検索する → シェア