正常時の正常人の智慧はもう散々の敗北で、子供の智慧におよばないという次第である。
先日、帝人の江口榛一が酔っ払って帰れなくなり、新宿駅前の交番へ泊めてもらって、居合した浮浪児とだき合って一夜をあかしたそうであるが、翌朝帰るときに、浮浪児が、オジサン電車賃ないんだろう、これやるから持ってきな、といって十円くれたそうだ。
江口君大感激して、お前はいゝ子だなア、どうだ、オジチャンの子供にならないか、ウチへこないか、というと、交番の巡査がふきだして「江口さん、浮浪児の五、六人養っておくと、あなたは寝ていて食べられますよ」と言ったそうだ。