だから私は、御婦人というものは、宴会ともなれば、オサンドンの代りをさせられるものではなくて、すゝんでして下さる性質のものであり、又、酔っ払いの男などより教養も高く、情意もひろく寛大であるから、暴言などは許して下さるものだろう、とアベコベな風に考えていたのである。
私は帝銀事件の犯人が怖い。
青酸カリをのんでバタバタ倒れる人々を冷然と見ている姿を考えると、いさゝかゾッとするのであるが、火事です、消防署へ、という電話をうけて、スト中だからダメです、とスイッチをきったという交換嬢の姿を考えると、帝銀の犯人よりも、もっと怖ろしくてもっとビリビリふるえあがってしまうのである。