無口、陰険、因果物の演技に巧なトン子さんは、人の知らないところで何をしているか見当がつかないように思われるが、妹は自分の目に見ていることだけ信用できるタチで、思いこんでいるのである。
そのころ私は自分の恋にかゝりきって、多忙をきわめ、ウワの空で暮していた。
三日にあげず女の人から手紙がきて、私がまた郵便のくる時間になると落付かないから、妹は私を蔑んで、便所へ行くフリや、お水をのみにくるフリしなくっともいゝでしょう、堂々と郵便箱のぞきなさいな、などゝ冷笑する。
無口、陰険、因果物の演技に巧なトン子さんは、人の知らないところで何をしているか見当がつかないように思われるが、妹は自分の目に見ていることだけ信用できるタチで、思いこんでいるのである。
そのころ私は自分の恋にかゝりきって、多忙をきわめ、ウワの空で暮していた。
三日にあげず女の人から手紙がきて、私がまた郵便のくる時間になると落付かないから、妹は私を蔑んで、便所へ行くフリや、お水をのみにくるフリしなくっともいゝでしょう、堂々と郵便箱のぞきなさいな、などゝ冷笑する。