それから十年、終戦後の御作を読むうち、「戯作について」の日記の記事に、茫然と致したのです。
あのころの私は毎日のように矢田さんをお訪ね致しておりました。
矢田さんの寛大な心に甘えて、私はダダッ子のように黙って坐って、あの方の放心とも物思いともつかぬ寂しい顔や、複雑な微笑の翳を目にとめて、私は泌みるような澄んだ思いになるのでした。
それから十年、終戦後の御作を読むうち、「戯作について」の日記の記事に、茫然と致したのです。
あのころの私は毎日のように矢田さんをお訪ね致しておりました。
矢田さんの寛大な心に甘えて、私はダダッ子のように黙って坐って、あの方の放心とも物思いともつかぬ寂しい顔や、複雑な微笑の翳を目にとめて、私は泌みるような澄んだ思いになるのでした。