私は時計塔の殺風景な三畳に、非常に部屋に不似合いに坐っている常識的で根は良妻型の有名な女流作家を見て見ぬようにヒソヒソと見すくめている。
この女流作家が怖れているのは、私の別れた女への義理人情や、同性愛の愛人へのイタワリなどである筈はない。
この女流作家の凡庸な良識が最も怖れているのは、私の貧困、私の無能力ということなのだ。
私は時計塔の殺風景な三畳に、非常に部屋に不似合いに坐っている常識的で根は良妻型の有名な女流作家を見て見ぬようにヒソヒソと見すくめている。
この女流作家が怖れているのは、私の別れた女への義理人情や、同性愛の愛人へのイタワリなどである筈はない。
この女流作家の凡庸な良識が最も怖れているのは、私の貧困、私の無能力ということなのだ。