私が先般、探偵小説の型に合わない、形式も知らずに探偵小説を書くとは怪しからん、という投書があったが、いかに日本人というものが猿智恵で、与えられたものを鵜のみにするしか能がないか、この投書のみならず在来の探偵小説がそれを証明しており、洋学移入可能の智能原始状態は探偵小説をもって第一人者となす。
ヴァン・ダインだ、クイーン、カー、クリスチーだ、クロフツだ、フィルポッツだ、シメノンだ、といって、いったい芸術の独創性というものは、どこへ忘れているのやら。
まだしも、他の芸ごと、たとえば、他の文学とか、音楽、絵画には、それぞれ、個性とか独創を尊び、形式やマンネリズムを打破することに主点がおかれているものだ。