犯罪という人間心理の秘奥について物語を作りながら、くだらぬ学術をふりまくばかりで、人間そのものについて、何ら誠実な勉強も行われていない。
たゞもう、自分の小説に都合よく、デクノボーみたいに、あっちへ曲げこっちへヒン向け、有りうべからざる人間心理をデッチあげて、平然たるものである。
探偵作家の人間に対する無智モーマイ、それが即ち、探偵作家の根柢的な無批判性の当然の帰結でもあり、批判力があるならば、第一に、百年一日の如くクダラヌ形式を鵜のみに物語をデッチあげて済ましておられる筈もなく、デクノボーのような人間をこしらえあげて済ましていられる筈もない。