私が京都に「吹雪物語」を書いてゐたとき、下宿屋の娘がこの年頃で京都名題の不良少女で、無軌道であつたが素直な気立のよい娘であつた。
その後、中学生の三人の不良少年に強姦されて半狂乱になつてそれから転落が始つたが、結局この種の運命は仕方がないので、不良少女は大概よい魂の所有者なのだが教養が低いから堕ちると高さがなくなる。
私の友達の十七の娘はその後結婚して良い母になつてゐる筈であるが、この娘はフランス文学者の娘で日本の古典文学に本格的な教養を持つてをり、私の原稿を読んで仮名や誤字を訂正してくれたが私が又今もつて漢字だの仮名遣ひなど杜撰極る知識の持主なのだから、あんまり沢山誤字があつたり仮名遣ひが間違つてゐたりして、十七の不良少女に仮名遣ひを教へて貰つて恐縮したものである。