朝、昼、夕、三度づゝ海へ行く。
雨が降つても、低気圧襲来大暴風雨狂瀾怒濤といふ時でも、風をひいて熱があつても出掛けて行くので、人ッ子一人ゐない狂瀾怒濤にくる/\まかれたり、ぐい/\引きこまれたり、叩きつけられたり押し倒されたり、あまり気持のいゝものではないが、他日輸送船がひつくり返つてみんな死んでも自分だけ助からうといふ魂胆だから、かうして人ッ子一人ゐない暴風雨下、暗澹たる空の下に、波にくる/\まきつけられて叩きつけられてゐると、いつたい外の日本人は自殺するつもりなのかな、と自分だけひどく頼もしくなつてくるほどだ。
いゝ年をして、と笑ふなかれ。