大井広介といふ男が本名は麻生某といつて、彼は元来九州の石炭屋の一族だ。
こゝなら徴用が逃れるといふので、井上友一郎が先づ社員となつて九州へ、つゞいて平野謙、荒正人と俄か石炭社員ができたが、どうも坂口安吾といふ呑んだくれだけは社の風紀に関するといつて入れてくれないから仕方がない。
尤も私は時々この会社へ宿酔をさましに遊びに行つて社長の空椅子にふんぞりかへつて昼寝するものだから、支店長が怖れをなして入社させてくれないので、尤も入社しなくて良かつた。
大井広介といふ男が本名は麻生某といつて、彼は元来九州の石炭屋の一族だ。
こゝなら徴用が逃れるといふので、井上友一郎が先づ社員となつて九州へ、つゞいて平野謙、荒正人と俄か石炭社員ができたが、どうも坂口安吾といふ呑んだくれだけは社の風紀に関するといつて入れてくれないから仕方がない。
尤も私は時々この会社へ宿酔をさましに遊びに行つて社長の空椅子にふんぞりかへつて昼寝するものだから、支店長が怖れをなして入社させてくれないので、尤も入社しなくて良かつた。