毎日いらつしやいな、と言ふと、でも貧乏でダメといふから、富子は外のお客から高く金をとつて、値段は書きだしてないから高くとつても分らないので、それで宿六の知らない利潤をあげて、今日は半分にまけてあげるわとか、今日はお金はいらないことよ、とか、だから毎日おいでなさいといふ意味をほのめかしても五日に一度ぐらゐしか来ない。
奥さんは美人だなア、とか、教養が高くて僕の始めての驚異の女性だなどゝ嬉しがらせを言つて帰る。
然しどうもお酒を安く飲ませて貰う御義理の御返礼といふ感じでピッタリしないけれども、富子はそれを承知の上でなんとなく嬉しい気持になる。