瀬戸一人の借金を十人ぐらゐの名前にわけて宿六の罵倒脅迫暴力を忍んでゐたが、急に借金の客がふへる一方、売上げがぐんぐん減るから、もとより清人は人一倍鋭敏、これは臭い曰くがあると思ひ、自分は知らぬ顔をして、旧友の一人にたのんで、お客に化けて行かせ様子を見て貰ふ、この旧友が然るに意外のその道の達人で、五日通ひ、瀬戸も絹川の顔も見て、なぜ客が減つたか法外な値段の秘密、みんな隈なくかぎだした。
然し胸に一計があるから、すぐさまこれを打ち開けなかつた。
富子はもうセッパづまつてゐた。
瀬戸一人の借金を十人ぐらゐの名前にわけて宿六の罵倒脅迫暴力を忍んでゐたが、急に借金の客がふへる一方、売上げがぐんぐん減るから、もとより清人は人一倍鋭敏、これは臭い曰くがあると思ひ、自分は知らぬ顔をして、旧友の一人にたのんで、お客に化けて行かせ様子を見て貰ふ、この旧友が然るに意外のその道の達人で、五日通ひ、瀬戸も絹川の顔も見て、なぜ客が減つたか法外な値段の秘密、みんな隈なくかぎだした。
然し胸に一計があるから、すぐさまこれを打ち開けなかつた。
富子はもうセッパづまつてゐた。