花柳界の礼儀で、待合の娘が芸者を遇する仕来り、芸者が待合の娘を遇する仕来り、ちやんと出来上つた枠の中で我がまゝ一杯ハネ返つて可愛がられたりオダテられたり、かつ又経営上のラツ腕もふるつてきたが、タヌキ屋ではダメだ。
タヌキ屋の美人女給は事務員やショップガールあがりの二十三四、四五といふ半分泥くさい連中で、いかにも浮気がしたくてこの道へ志したといふ御歴々ぞろひ、最上先生のテストに及第したのも亦そこを見込まれてのことだ。
オコウちやんと肌合が違ふから、小娘に派手にやられてきり廻されて何かと言はれると腹を立て、余波はめぐつて倉田軍師も煙たがられてなんとなく反目を受ける。