するとその晩偶然倉田について飲み廻つて一緒にとめてもらつた青年がある。
彼も元来哲学生で、卒業まぎはに召集されて大陸でぶらぶら兵隊生活をして戻つてきたが、闇屋のかたはら小さな雑誌の編輯など手伝つてゐるうちに倉田と相知り、傾倒して彼を先生とよび、始めて偉大なる思想家に会つたと大いに感激してゐる。
富子の語る一部始終を耳にして、よろしい、そんなら、僕がお勝手をやりませう、と申しでた。
するとその晩偶然倉田について飲み廻つて一緒にとめてもらつた青年がある。
彼も元来哲学生で、卒業まぎはに召集されて大陸でぶらぶら兵隊生活をして戻つてきたが、闇屋のかたはら小さな雑誌の編輯など手伝つてゐるうちに倉田と相知り、傾倒して彼を先生とよび、始めて偉大なる思想家に会つたと大いに感激してゐる。
富子の語る一部始終を耳にして、よろしい、そんなら、僕がお勝手をやりませう、と申しでた。