とにかく入社してもしばらくの間は顔を合わせずにいた。
しかも長谷川君の家は西片町で、余も当時は同じ阿部の屋敷内に住んでいたのだから、住居から云えばつい鼻の先である。
だから本当を云うと、こっちから名刺でも持って訪問するのが世間並の礼であったんだけれども、そこをつい怠けて、どこが長谷川君の家だか聞き合わせもせずに横着をきめてしまった。
とにかく入社してもしばらくの間は顔を合わせずにいた。
しかも長谷川君の家は西片町で、余も当時は同じ阿部の屋敷内に住んでいたのだから、住居から云えばつい鼻の先である。
だから本当を云うと、こっちから名刺でも持って訪問するのが世間並の礼であったんだけれども、そこをつい怠けて、どこが長谷川君の家だか聞き合わせもせずに横着をきめてしまった。