やがて医者の声で、どうせ、そう急には御癒りにはなりますまいからと云った言葉だけが判然聞えた。
それから二三日して、かの患者の室にこそこそ出入りする人の気色がしたが、いずれも己れの活動する立居を病人に遠慮するように、ひそやかにふるまっていたと思ったら、病人自身も影のごとくいつの間にかどこかへ行ってしまった。
そうしてその後へはすぐ翌る日から新しい患者が入って、入口の柱に白く名前を書いた黒塗の札が懸易えられた。
やがて医者の声で、どうせ、そう急には御癒りにはなりますまいからと云った言葉だけが判然聞えた。
それから二三日して、かの患者の室にこそこそ出入りする人の気色がしたが、いずれも己れの活動する立居を病人に遠慮するように、ひそやかにふるまっていたと思ったら、病人自身も影のごとくいつの間にかどこかへ行ってしまった。
そうしてその後へはすぐ翌る日から新しい患者が入って、入口の柱に白く名前を書いた黒塗の札が懸易えられた。