横溝正史氏の「蝶々殺人事件」は終戦後のみならず、日本における推理小説では最も本格的な秀作で、大阪の犯行を東京の犯行と思わせるトリック、そのトリックを不自然でなく成立せしめる被害者のエキセントリックな性格の創造、まことによく構成されておって、このトリックの点では世界的名作と比肩して劣らぬ構成力を示している。
然し、敢てこの名作から三つの欠点をとりだして、一アマチュアの立場から、探偵小説全般の欠点に就て、不満と希望をのべてみたいと思う。
第一に、なぞのために人間性を不当にゆがめている、ということ。
横溝正史氏の「蝶々殺人事件」は終戦後のみならず、日本における推理小説では最も本格的な秀作で、大阪の犯行を東京の犯行と思わせるトリック、そのトリックを不自然でなく成立せしめる被害者のエキセントリックな性格の創造、まことによく構成されておって、このトリックの点では世界的名作と比肩して劣らぬ構成力を示している。
然し、敢てこの名作から三つの欠点をとりだして、一アマチュアの立場から、探偵小説全般の欠点に就て、不満と希望をのべてみたいと思う。
第一に、なぞのために人間性を不当にゆがめている、ということ。