第一、これだけ苦心してアリバイをつくっても、五階から落ちた死体が落ちた瞬間に目撃者がなければ、苦心のアリバイもアリバイにならない。
そして、すぐ目撃者がある程度に人目のあるところから死体を縄によじって窓の外につるすという緩慢複雑な動作が人目に隠れて行えるものではない。
もしまたその仕掛が人にさとられずに行えるほど無人のところなら死体が落ちてもすぐには発見されず、ほど経て発見された際には苦心のアリバイも役に立たず、五階の窓の外に仕掛けた縄を改めて取りこむだけ余計な危険にさらされているに過ぎないのである。