だから彼女らには我々銀座の通行人も眼中になく、したがつて、我々がパンパンに就て考へる如く、パンパンといふものを惨めとも卑屈に思ふ考へ方など全然ない。
たまたま足を洗つて事務員となつた女だけが、こんなショーバイ肩身がせまいから、と云つたが、彼女だけが東京に家があり、家から稼ぎにでゝゐた、だからさういふ卑下した考へも出てくるわけで、他の住所のない家出娘のパンパンたちは卑屈なところや卑下するところはなかつた。
彼女らは娼婦といふよりも、自然人で、娼婦的にヒネクレたり、荒んだり、ゆがめられてゐるところは殆どない。