ちょっと映画を見てきても渋い顔をする母が私の願いを許したのは、ゴルフとは華族とか大金満家とか、特権階級というものの遊びで貧乏人の寄りつけないものだと人の話にきいて知っていたからで、だから高価なゴルフ用具もまったく驚く顔色もなく買ってくれた。
独身の若者には華族であろうと大金満家の御曹子であろうと挨拶されてもソッポを向くこと、話しかけられてもフンとも返事をしないこと、その一日の出来事を報告して母の指示を仰ぐこと、細々と訓示を受けたが、実は御年配の大金満家か大華族に見染められればいいという魂胆で、女学生だけ二人づれでゴルフに行くなんて破天荒の異常事だということなどは気がつかないのだ。
ガッチリ屋のくせに無智そのものの世間知らずであった。