この親分は一方ではさる歓楽地帯を縄張りにした親分でもあり、斬ったはったの世界では名の知れた大親分だということだが、もう隠居前で六十を一つか二つ越していた。
私は賑やかなことが好きなタチだから、喧嘩の見物も嫌いではなかったけれども、根が至って気のきかない、スローモーション、全然モーローたる立居振舞トンマそのものの性質で、敏活また歯ぎれのよい仁義の世界では全然モーションが合わないのだもの、話にならない。
私は別にオメカケが厭だとは思っていなかったが、自由を束縛されることが厭なので、豊かな生活をさせてくれて一定の義務以外には好き放題にさせてくれるなら、八十のオジイサンのオメカケだって厭だとはいわない。