仕方がないから、母には内密に、私から断わることにして、近所の洗濯屋の娘で、薄馬鹿だけれども伝言の口上だけはひどく思いつめて間違いなくハッキリいってくるという、潔癖のすぎたあげくの気違いのような娘がいて、私に変に親しみをこめて挨拶するような仲だから、この娘に伝言をたのんだ。
私より三ツ年上のそのとき二十二であった。
この娘が私にいわれた通り、無理に親分に会わせてもらって、口上を間違いなく述べたから、親分は笑って、そうかい、よしよし、お駄賃をくれて帰して、その日のうちに相当の乾児を使者に破約を告げて、お嬢さんへ親分からの志といって、まるで結納のように飾りたてた高価な進物をくれた。