母の旦那は大きな商店の主人であったが、山の別荘へ疎開した。
その隣村の農家だかに部屋があるからという知らせがきて、母は疎開したがったが、私が徴用で動けないので、大いに煩悶していたが、空襲がはじまり、神田がやられ、有楽町がやられ、下谷がやられ、近いところにポツポツ被害があったりして、母も観念して単身荷物と共に逃げだした。
母もまた私同様病気と死ぬことが何よりの嫌いで、雪夫は医者に育てるのだと小さい時からきめていたのは、少しでも長生きしたいという計算からであった。
母の旦那は大きな商店の主人であったが、山の別荘へ疎開した。
その隣村の農家だかに部屋があるからという知らせがきて、母は疎開したがったが、私が徴用で動けないので、大いに煩悶していたが、空襲がはじまり、神田がやられ、有楽町がやられ、下谷がやられ、近いところにポツポツ被害があったりして、母も観念して単身荷物と共に逃げだした。
母もまた私同様病気と死ぬことが何よりの嫌いで、雪夫は医者に育てるのだと小さい時からきめていたのは、少しでも長生きしたいという計算からであった。