けれども実際は若い男と密会のためで、これだけは私に隠しておきたかったのだけれども、交通も通信も不自由で、打合せがグレハマになるから、仕上げは御見事というわけにも行かず、男を家へひきいれて酒をのみ泊めてやることもあった。
私は母だから特別の生き方を要求するような気持は微塵もなく、私が自由でありたいように、母も私に気兼ねなどしない方がサッパリして気持がいいと思っていたが、私はしかし母が酔っ払うとダラシなくなるのと、男が安ッポすぎたのでなさけなかった。
三月十日の陸軍記念日には大空襲があるから三月九日には山へ帰るのだと母はいっていた。