私は山の別荘へ行くことは好まなかった。
母の旦那と私には血のつながりはないのだけれども、やっぱり親の代理みたいに威張られ束縛されるのが不安であったし、私はそれに避難民列車にのって落ちて行くのがなんとも惨めで堪えがたい思いになっていた。
避難民は避難民同士という垣根のない親身の情でわけへだてなく力強いところもあったが、垣根のなさにつけこんで変に甘えたクズレがあり、アヤメも分たぬ夜になると誰が誰やら分らぬ男があっちからこっちから這いこんできて、私はオソヨさんと抱きあって寝ているからオソヨさんが撃退役でシッシッと猫でも追うように追うのがおかしくて堪らないけど、同じ男がくるのだか別の男なのだか、入り代り立ち代り眠るまもなく押しよせてくるので、私たちは昼間でないと眠るまがない。