電車の中で正面に坐っている美青年に顔をほてらせたり、からだが堅くなったり、胸や腰がキュウとしまるという登美子さんが、それも本能だろうから、私は別に助平だとは思わないが、私にくらべて浮気だろうと思うのである。
けれども男の人たちも登美子さんと同じように私の親切を浮気のせいだと心得て、たちまち狎れて口説いたり這いこんだりする。
特別、避難所の国民学校では屈することなくしっきりなしの猛襲にうんざりして、こんな人たちとこんな風に都を落ちて見知らぬ土地へ流れるなんて、私はとても、甘えすぎたクズレが我慢のできない気持でもあった。