だいたい私みたいなスローモーションの人間は、とても世間並の時間の速力というものについて行けない。
けれども私は人と時間の約束したり一つの義務を負わされると、とても脅迫観念に苦しめられるけれども、どうしてもスローモーションだからダメで、会社へでていたころは二時間三時間、五時間六時間おくれる。
終業の三十分前ぐらいに出勤して、今ごろ出てくるなら休みなさいなどと皮肉られても、私だってそんな出勤が無意味と知りながら出てゆくからには、どんなに脅迫観念に苦しめられていたか、久須美だけはそれを察して、専務が甘やかすから、などと口うるさくても、彼は私に一言の非難もいわず、常にむしろいたわってくれた。