ノブ子さんは表面ひどくガッチリ、チャッカリ、会社にいたころも事務はテキパキやってのけるし、飲み屋をやってからも婆やを手伝いにつけてあるのに、自転車で買いだしにでる、店のお掃除、人手をかりずに一人で万事やる上に、向う三軒両隣、近所の人のぶんまでついでに買いだしてやったり、隣りの店の人が病気でショウバイができず、さりとて寝つけば食べるお金にも困るという、するとノブ子さんは自分の店の方をやめて、隣の店で働いてやるという、女には珍しい心の娘であった。
だから活動的で、表面ガッチリズムの働き者に見えるけれども、実際はもうからない。
三角クジだの宝クジだの見向きもしたことがなく、空想性がなく着実そのものだけれども、人の事となると損得忘れてつくしてやって一銭ずつの着実なもうけをとたんにフイにしてしまう。