三角クジだの宝クジだの見向きもしたことがなく、空想性がなく着実そのものだけれども、人の事となると損得忘れてつくしてやって一銭ずつの着実なもうけをとたんにフイにしてしまう。
田代さんはノブ子さんの美貌と活動性とチャッカリズムに目をつけて、大いにお金をもうけるつもりでかかったのに、一向にもうけもなく、おまけにノブ子さんは売上げの一割は手をつけずにおいて、自分の方にもうけがなくとも、この一割だけは田代さんの奥さんへとどけてやる。
万事万端意想外で田代さんは呆気にとられたが、この人がまた、金々々、金が欲しくて堪らない、金のためなら何でもするという御人のくせに、御目当の金の蔓、しかし営業不成績をあきらめて、ノブちゃんの純情な性質の方をいたわった。