ノブ子さんの懊悩は真剣で、実際その懊悩通りに金銭の悪鬼になりかねないところがあったが、私はしかしノブ子さんその人でなしに、その人の陰にいる田代さんのガッチリズムの現実家、ころんでもタダは起きないくせに、実は底ぬけの甘さ加減がおかしくて仕方がないのだ。
人生はままならねエもんだなア、と田代さんはいうけれども、私もそれは同感だけれども、田代さんが感じる如くにままならネエかどうか、田代さんは人間はみんな浮気の虫、金銭の虫、我利の虫だといいきるくせに、その実ノブ子さんを内々は聖処女、我利我利ズムのあべこべの珍しい気象の娘だなどと、なんてまたツジツマの合わない甘ったれた人なんだか私はハリアイがぬけてしまう。
私は野たれ死をするだろうと考える。