愈々来たか、ダメか、と思ふと一両日は時々いはれなく竦むやうな、全身冷えきる心持に襲はれたものであつた。
だから特攻基地へ廻されてきて気違ひ騒ぎを見ると、ハハア、みんなやつてる、オレだけぢやないんだ、グロテスクきはまる因果物を見せつけられてそれが人ごとでない感じ、思へばわが身にせまる不安は身の毛のよだつものであつたが、それと一しよに妙にゾクゾク嬉しく勇ましくなつてきた。
よろし、オレもやるぞ、さつそく夜陰に窓からぬけだす、ビンタがないから大いに豪快で、淫売宿にナジミもできたが、挺身隊の女工の情婦もでき、女事務員とも仲がよくなり、看護婦にも一人いいのができた。