すると又、あいにくなことに、最も欲するものを抑へること、せめてそれが満足である、いはゞまアそれだけが人間の自覚のやうな気がして、そんな理窟で間に合ふことも多かつた。
だから彼はふだんイヤな士官だの司令の奴を、死ぬときまつたらひとつヒッパタイテやらうなどゝいふ気持よりも、誰にでも愛想よくサヨナラと云つて、サッサと死んでしまふ方が気に入つてゐた。
然し愈々命令が下つたときには目も耳もくらみ、心は消え、すくんでしまつたもので、あゝ、これを絶望といふのだ。
すると又、あいにくなことに、最も欲するものを抑へること、せめてそれが満足である、いはゞまアそれだけが人間の自覚のやうな気がして、そんな理窟で間に合ふことも多かつた。
だから彼はふだんイヤな士官だの司令の奴を、死ぬときまつたらひとつヒッパタイテやらうなどゝいふ気持よりも、誰にでも愛想よくサヨナラと云つて、サッサと死んでしまふ方が気に入つてゐた。
然し愈々命令が下つたときには目も耳もくらみ、心は消え、すくんでしまつたもので、あゝ、これを絶望といふのだ。