この提案は母と娘と四人同座の席でだされ、正式の交渉、もとより女たちはそれを望むのが当然、三対一、反対してもムダだから安川も同意した。
然し、安川の親の医院は焼失し、両親がどんな暮しをしてゐるやら手紙ぐらゐで納得するやら、二十二の特攻小僧の嫁ばなし、相手にもしてくれない不安ばかりで、たよりない話だけれども、ひくわけに行かない。
すると村山は、さう話がきまれば自分の勝と考へたから、あとは時間の問題、この際トキ子の身をまもることが大切で、話がきまつた以上、求婚者が娘の家に同居するのは間違ひが起り易いから、解決までフェアプレー、ほかの家へ宿をとらうと巧みに話をもちかけて、二人は星野家の真向ひの長屋へ隣同志に別れて下宿した。