二人は四六時中相手の行動を見張りあひ、一方が星野家の門をくゞると、忽ち一方もあとを追ふ、片時も目をはなさぬといふ忙しいことになつた。
変つた事情で、それまでは赤の他人の星野家へひとり残された妙信と京二郎、妙信は色々と情婦があるから、そつちのつきあひで外泊が多く、いつも無口の京二郎がたつた一人とり残されて、話のツギホに困りきつてゐるやうなことが多かつた。
信子(トキ子の母)は未亡人のつれづれ、死にゝとびたつ特攻隊員をねぎらつて、まぎれてゐたが、敗戦、一時はどうなることやらヤブレカブレの気持にもなる。