が、ついそれを試みる機会もなくて今日まで過ぎたのであるから、もし自分の手際が許すならばこの「彼岸過迄」をかねての思わく通りに作り上げたいと考えている。
けれども小説は建築家の図面と違って、いくら下手でも活動と発展を含まない訳に行かないので、たとい自分が作るとは云いながら、自分の計画通りに進行しかねる場合がよく起って来るのは、普通の実世間において吾々の企てが意外の障害を受けて予期のごとくに纏まらないのと一般である。
したがってこれはずっと書進んで見ないとちょっと分らない全く未来に属する問題かも知れない。