年こそそれほど取っていないが、森本のように、大抵な世間の関門を潜って来たとしか思われない男の経歴談は、この夏学校を出たばかりの敬太郎に取っては、多大の興味があるのみではない、聞きようしだいで随分利益も受けられた。
その上敬太郎は遺伝的に平凡を忌む浪漫趣味の青年であった。
かつて東京の朝日新聞に児玉音松とかいう人の冒険談が連載された時、彼はまるで丁年未満の中学生のような熱心をもって毎日それを迎え読んでいた。
年こそそれほど取っていないが、森本のように、大抵な世間の関門を潜って来たとしか思われない男の経歴談は、この夏学校を出たばかりの敬太郎に取っては、多大の興味があるのみではない、聞きようしだいで随分利益も受けられた。
その上敬太郎は遺伝的に平凡を忌む浪漫趣味の青年であった。
かつて東京の朝日新聞に児玉音松とかいう人の冒険談が連載された時、彼はまるで丁年未満の中学生のような熱心をもって毎日それを迎え読んでいた。