森本の呑気生活というのは、今から十五六年前彼が技手に雇われて、北海道の内地を測量して歩いた時の話であった。
固より人間のいない所に天幕を張って寝起をして、用が片づきしだい、また天幕を担いで、先へ進むのだから、当人の断った通り、とうてい女っ気のありようはずはなかった。
「何しろ高さ二丈もある熊笹を切り開いて途をつけるんですからね」と彼は右手を額より高く上げて、いかに熊笹が高く茂っていたかを形容した。
森本の呑気生活というのは、今から十五六年前彼が技手に雇われて、北海道の内地を測量して歩いた時の話であった。
固より人間のいない所に天幕を張って寝起をして、用が片づきしだい、また天幕を担いで、先へ進むのだから、当人の断った通り、とうてい女っ気のありようはずはなかった。
「何しろ高さ二丈もある熊笹を切り開いて途をつけるんですからね」と彼は右手を額より高く上げて、いかに熊笹が高く茂っていたかを形容した。