固より役人である以上、いつ出張しないとも限らないが、敬太郎は平生からこの男を相して、何でも停車場の構内で、貨物の発送係ぐらいを勤めているに違ないと判じていたものだから、出張と聞いて少し案外な心持がした。
けれども立つ時すでに五六日と断って行ったのだから、今日か翌日は帰るはずだと下女に云われて見ると、なるほどそうかとも思った。
ところが予定の時日が過ぎても、森本の変な洋杖が依然として傘入の中にあるのみで、当人のドテラ姿はいっこう洗面所へ現われなかった。
固より役人である以上、いつ出張しないとも限らないが、敬太郎は平生からこの男を相して、何でも停車場の構内で、貨物の発送係ぐらいを勤めているに違ないと判じていたものだから、出張と聞いて少し案外な心持がした。
けれども立つ時すでに五六日と断って行ったのだから、今日か翌日は帰るはずだと下女に云われて見ると、なるほどそうかとも思った。
ところが予定の時日が過ぎても、森本の変な洋杖が依然として傘入の中にあるのみで、当人のドテラ姿はいっこう洗面所へ現われなかった。