「あたくしがお供してゐますもの、御不自由は致させません」
夏川は気がぬけるほど馬鹿らしかつた。
淫売で露命をつないでゐるこの青年に御不自由は致させませんもないものだが、本人はそれを思ひこんでゐるのであるし、事実貧富暖寒の差に人の真実の幸不幸がないとすれば、堕ちつめて行く路の涯にこの青年の献身が拠りどころであり得ることも考へられるのであつた。
「あたくしがお供してゐますもの、御不自由は致させません」
夏川は気がぬけるほど馬鹿らしかつた。
淫売で露命をつないでゐるこの青年に御不自由は致させませんもないものだが、本人はそれを思ひこんでゐるのであるし、事実貧富暖寒の差に人の真実の幸不幸がないとすれば、堕ちつめて行く路の涯にこの青年の献身が拠りどころであり得ることも考へられるのであつた。