「実は少し御願があって上ったんですが」と云った主人はやや小声になって、「森本さんのいらっしゃる所をどうか教えて頂く訳に参りますまいか、けっしてあなたに御迷惑のかかるような事は致しませんから」と藪から棒につけ加えた。
敬太郎はこの意外の質問を受けて、しばらくは何という挨拶も口へ出なかったが、ようやく、「いったいどう云う訳なんです」と主人の顔を覗き込んだ。
そうして彼の意味を読もうとしたが、主人は煙管が詰ったと見えて、敬太郎の火箸で雁首を掘っていた。
「実は少し御願があって上ったんですが」と云った主人はやや小声になって、「森本さんのいらっしゃる所をどうか教えて頂く訳に参りますまいか、けっしてあなたに御迷惑のかかるような事は致しませんから」と藪から棒につけ加えた。
敬太郎はこの意外の質問を受けて、しばらくは何という挨拶も口へ出なかったが、ようやく、「いったいどう云う訳なんです」と主人の顔を覗き込んだ。
そうして彼の意味を読もうとしたが、主人は煙管が詰ったと見えて、敬太郎の火箸で雁首を掘っていた。