これがどうして焼け残つたかといふと、例の七八名の不良少年組の方が、猛火のまんなかに踏みとゞまつて消してくれたのだ。
私らのところがやられた時は風のない日だから、命をまとに踏みとゞまる者があれば消すことができたのだが、前々の例で死ぬのが怖しいから消さずに逃げて綺麗に一望千里の焼野になつたので、私らの小地区だけ不良少年組が救つたのである。
その後、せつかく焼け残つた私らの地区は再び二時間にわたる焼夷弾攻撃をうけて、私の前後の二軒に五十キロ焼夷弾、その他あつちでもこつちでも、総計二三百にあまる大小焼夷弾の雨がふつた。