この先生は五十ぐらゐの痩せて見るからに病弱らしい顔色の悪い先生で、いつも私の空席をチラと見て、又休んだか、と呟いてゐたさうである。
私はどうにも切なくて、思ひがけなく及第したが、先生の顔を見る勇気がないので新学期から学校を休んでゐると、友達が来て、用器画の先生は学校をやめたといふことを伝へてくれた。
それ以来、私はいくらか学校をサボらぬやうになつたが、それは改心したせゐではなく、その時以来学校中の人気者になつて、ヒゲの生えたオヂサン連だのヨタモノ連に馬鹿親切に厚遇されるやうになつたから、いくらか学校が面白くなつたせゐである。