私はあの町を立去つて以来、再び訪れたこともなく、思ひだすことも悲しい。
虚しさとは、そして、その虚しさの愚かさのシムボル自体があの英雄で、この町に何とか稔といふ私よりも年長の文学青年がゐて、私の例の屍体引揚げ作業を見てゐて葉書をよこして遊びにくるといふから、私は胸のつぶれる苦しさ憎さで、あなたはイソップ物語を知つてゐますか、子供が石を投げて遊んでゐますが池の中の蛙には命の問題です、と返事を書いた。
ある日トンパチ屋で会ふと向うから話しかけて文学の話を始めたから、バカヤロー、私は怒鳴つて帰つてきた。