私が床屋から帰つてくると、ガランドウも仕事先の箱根から帰つてきて、偶然店先でぶつかり、愈々二宮へマグロをとりにでかけたわけだが、ガランドウばかりは戦争のセの字も言はなかつたやうだ。
どこ吹く風、まつたくさういふ男で、五尺八寸五分ぐらゐ、大男の私が見上げるやうな大男で、感動を表すといふ習慣が全然ない、怒ることもなく、笑ふことだけはある。
二宮駅の手前でバスを降りて、先づ禅寺へはいつて行つていやにサボテンだらけのお寺で、ガランドウは庫裡の戸をあけて、酒はないかね、大きな声でたづねてゐる。
私が床屋から帰つてくると、ガランドウも仕事先の箱根から帰つてきて、偶然店先でぶつかり、愈々二宮へマグロをとりにでかけたわけだが、ガランドウばかりは戦争のセの字も言はなかつたやうだ。
どこ吹く風、まつたくさういふ男で、五尺八寸五分ぐらゐ、大男の私が見上げるやうな大男で、感動を表すといふ習慣が全然ない、怒ることもなく、笑ふことだけはある。
二宮駅の手前でバスを降りて、先づ禅寺へはいつて行つていやにサボテンだらけのお寺で、ガランドウは庫裡の戸をあけて、酒はないかね、大きな声でたづねてゐる。