ところが愈小田原包囲の陣となり、三ヶ月が空しくすぎて、夏のさかり、秀吉の命をうけて如水は家康を訪問した。
このとき、はからざる大人物の存在を如水は見た。
頭から爪先まで弓矢の金言で出来てゐるやうな男だと思ひ、秀吉が小牧山で敗戦したのも無理がない、あのとき俺がついてゐても戦さは負けたかも知れぬ、之は天下の曲者だ、と、ひそかに驚嘆の心がわいた。
ところが愈小田原包囲の陣となり、三ヶ月が空しくすぎて、夏のさかり、秀吉の命をうけて如水は家康を訪問した。
このとき、はからざる大人物の存在を如水は見た。
頭から爪先まで弓矢の金言で出来てゐるやうな男だと思ひ、秀吉が小牧山で敗戦したのも無理がない、あのとき俺がついてゐても戦さは負けたかも知れぬ、之は天下の曲者だ、と、ひそかに驚嘆の心がわいた。