逃げる家康は総勢五騎であつた。
敵が後にせまるたびに、自ら馬上にふりむいて、弓によつて打ち落した。
顔も鎧も血で真ッ赤、やうやく浜松の城に辿りつき、門をしめるな、開け放しておけ、庭中に篝をたけ、言ひすてゝ奥の間に入り、久野といふ女房に給仕をさせて茶漬を三杯、それから枕をもたせて、ゴロリとひつくり返つて前後不覚にねてしまつた。
逃げる家康は総勢五騎であつた。
敵が後にせまるたびに、自ら馬上にふりむいて、弓によつて打ち落した。
顔も鎧も血で真ッ赤、やうやく浜松の城に辿りつき、門をしめるな、開け放しておけ、庭中に篝をたけ、言ひすてゝ奥の間に入り、久野といふ女房に給仕をさせて茶漬を三杯、それから枕をもたせて、ゴロリとひつくり返つて前後不覚にねてしまつた。