話題の主は家康と信雄で、北条と通謀して夜襲をかける、奥州からは伊達政宗が駈けつける手筈になつてゐるなどゝ、流言必ずしも根のないことではない。
当の家康の家来共が流言の渦にむせびながら腕を撫し、いつ夜襲の主命下るか、猿めを退治て、あとはこつちの天下だと小狸共の胸算用で憶測最も逞しい。
ところが、家康は温和であつた。
話題の主は家康と信雄で、北条と通謀して夜襲をかける、奥州からは伊達政宗が駈けつける手筈になつてゐるなどゝ、流言必ずしも根のないことではない。
当の家康の家来共が流言の渦にむせびながら腕を撫し、いつ夜襲の主命下るか、猿めを退治て、あとはこつちの天下だと小狸共の胸算用で憶測最も逞しい。
ところが、家康は温和であつた。