天下が俺にくるかも知れぬ、と考へたのは家康も亦、このときだ。
けれども天運に恵まれず、堺に旅行中であつたから這々の体で逃げて帰る、秀吉にしてやられて、天下は彼から遠退いた。
けれども、織田信雄と結んで秀吉と戦ふことになつて、俄に情熱は爆発する、天下を想ふ亢奮は身のうちをたぎり狂つて、家康時に四十の青春、始めて天下の恋を知つた。
天下が俺にくるかも知れぬ、と考へたのは家康も亦、このときだ。
けれども天運に恵まれず、堺に旅行中であつたから這々の体で逃げて帰る、秀吉にしてやられて、天下は彼から遠退いた。
けれども、織田信雄と結んで秀吉と戦ふことになつて、俄に情熱は爆発する、天下を想ふ亢奮は身のうちをたぎり狂つて、家康時に四十の青春、始めて天下の恋を知つた。