だが、この遠征には、秀吉も知らぬ、家康も知らぬ、如水はもとよりのこと、三成すらも気づかなかつた奇怪な陥穽があつたのである。
信長は生来の性根が唯我独尊、もとより神仏を信ぜず、自分を常に他と対等の上に置く独裁型の君主であつたが、晩年は別して傲慢になつた。
秀吉が信長の命を受けて中国征伐に出発のとき、中国平定後は之をお前にやるから、と言はれて、どう致しまして、中国などは他の諸将に分与の程を願ひませう。
だが、この遠征には、秀吉も知らぬ、家康も知らぬ、如水はもとよりのこと、三成すらも気づかなかつた奇怪な陥穽があつたのである。
信長は生来の性根が唯我独尊、もとより神仏を信ぜず、自分を常に他と対等の上に置く独裁型の君主であつたが、晩年は別して傲慢になつた。
秀吉が信長の命を受けて中国征伐に出発のとき、中国平定後は之をお前にやるから、と言はれて、どう致しまして、中国などは他の諸将に分与の程を願ひませう。